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植物療法  研究トピックス
No. 3 ウィッチヘーゼルのハマメリタンニンは大腸ガン細胞に対して毒性を示す

早春に葉のない枝に芳香のある黄色い花をたくさん咲かせるウィッチヘーゼル(マンサク科Hamamelis virginiana)。北米のネイティブアメリカンは、この木でステッキ(棒)を作り、目の洗浄剤として、樹皮を浸した水を活用していたという。先住民であるネイティブアメリカンがハーブとして用いていたことが入植者に伝わり、やがて西洋文化に入っていったといういくつかのハーブのうちの一つである。

ウィッチヘーゼルの樹皮にはタンニンが多く含まれ、収れん作用が大きいため、止血などのほか、引き締めのためのスキンケアとして人気のあるハーブである。今回紹介する研究報告では、このウィッチヘーゼルで大腸ガンに対する防御作用があるという報告がこれまでにもあることから、大腸ガンに対する作用について、どの成分が効果を発揮しているのか、より特定することを目的とし、ハマメリタンニンとペンタガロイルグルコースとプロアントシアニジンを多く含む分画を選んで試験が行われている。

これらの成分を細胞に対して付与したところ、アポトーシス、ネクローシスを誘発して、ガン細胞の生存率を低減した。またヒト大腸ガン細胞株HT29に対して、細胞周期のS期(合成期といい、DNA量が2倍になる時期)での停止を誘発、それにはハマメリタンニンが一番大きな作用を示すことが分かった。また、ポリフェノールは、過酸化水素の発生に関して、カタラーゼ活性の有無と関係しながら影響を及ぼすことが示唆された。カタラーゼが存在するとき、細胞毒性はプロアントシアニジンを含む分画でIC50(50%阻害濃度)が顕著に変化したとのこと。また50%ハマメリタンニンの付与により、大腸ガン細胞は増殖を抑制されたが、正常細胞には影響がないことも確認されたそうだ。

 

正常細胞には害はなく、ガン細胞にはしっかりと効く・・。そんな抗ガン剤が望まれているなか、ウィッチヘーゼルのこの成分は期待されるだろう。

【参考】Sánchez-Tena S, Hamamelitannin from witch hazel (Hamamelis virginiana) displays specific cytotoxic activity against colon cancer cells. J Nat Prod. 2012 Jan 27;75(1):26-33.

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