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この季節,清らかな小川にいくと明るい緑色をしたセリの若葉を見つけることかできる。セリ(セリ科 Oenanthe javanica)は,日本全国の小川や畔道などで群生している湿地性植物であり,独特の香りや味から,食卓に上ることも多い植物である。

 セリでは,これまでにもグルタミン酸誘導性の神経毒性に対する保護効果などが周知されているが,今回紹介する研究報告では,セリの,脳における神経発生に及ぼす作用を明らかにするために,Ki-67(細胞増殖のための内因性マーカーである)とダブルコルチン(神経芽細胞のマーカー)を指標として用いている。

 青年期のラットの海馬歯状回の亜顆粒域において,セリ抽出物を含有する食餌(セリ群)と正常食餌(対照群)との細胞増殖および神経芽細胞分化への影響を調べた。

  その結果,セリ群では,対照群と比較して,青年期ラットの歯状回の亜粒状ゾーンにおけるKi-67免疫反応性細胞,およびダブルコルチン免疫反応性神経芽細胞の数を有意に増加させることを確認した。さらに,セリ群の歯状回において,対照群と比較して脳由来神経栄養因子の免疫反応性が有意に増加した。

 これらの結果は,セリ抽出物が,ラット歯状回における脳由来神経栄養因子免疫反応性を増加させることによって,細胞増殖および神経芽細胞分化を改善することを示唆している。

 〔参考文献〕Bai Hui Chen, Joon Ha Park, et.al., Ethanol extract of Oenanthe javanica increases cell proliferation and neuroblast differentiation in the adolescent rat dentate gyrus. Neural Regen Res. 2015; 10(2): 271–276.

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