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今回紹介する論文では、ヤロー(キク科ノコギリソウ属セイヨウノコギリソウ Achilea milleforium )の有用植物としての効果を、人ではなくて鳥のミドリツバメ (Tachycineta bicolorがどのように享受しているのか、明らかにするために研究を行ったものである。

ミドリツバメは植物材料を用いて巣を作る鳥である。以前から、ヤローなどいくつかの種類のフレッシュな葉を用いて、巣を作る様子が観察されており、巣に微生物や害のある昆虫が寄生することを防いでいるためではないかと考えられていた。

この論文の著者らは、ミドリツバメに対するヤローの役割を、微生物や害虫などに対する直接的な忌避効果と、ミドリツバメ自身の免疫力を増強するような免疫的効果の両方からみていった。

23のミドリツバメに巣に、ミドリツバメが最初の卵をおいた日に生のヤローを置き、そして2日に一回新しいヤローに取り替え、44のヤローを置かないコントロール群としてのミドリツバメの巣の状況と比較した。

ヤローを置いて12日後、ひなが成長し、巣がほぼ満杯状態になるときに、巣のひなから採血して白血球の数をカウントした。それとともに巣のノミの数も数えた。

その結果、コントロール群では、平均して773匹のノミ Ceratophyllus idius であったがヤロー群では 419 匹と少なかった。しかし、白血球数には有為な差異はみられなかった。

今回の研究では、ノミに対する忌避効果が確認でき、ミドリツバメも人と同様に、ヤローをハーブとして用いているのではないかということが示唆された。免疫についての作用は確認できなかったが、著者らの着眼点としてとても興味深い。

〔参考〕Shutler D, Campbell AA (2007). "Experimental addition of greenery reduces flea loads in nests of a non-greenery using species, the tree swallow Tachycineta bicolor". Journal of Avian Biology 38 (1): 7–12.

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